高速を降りて、ドライブがてら適当に流してみたけど、でも、何にもない町だとしか言えなかった。
インターの付近は少しばかり賑わっていたけど、それでも少しそこから車を走らせれば、もう田んぼばかりが続く風景。
ぶっちゃけ、黒塗りの高級車は場違いだとしか思えない。
結局、ナビに指示されるままに運転すると、小高い丘の上に立つ白い巨塔へと辿り着いた。
親父が入院してると教えられた場所で、田舎には似つかわしくない建物だな、と思わされるのだが。
無意識のうちにため息を混じらせながら車から降りてみれば、生温かくも少し湿度を含んだ夏風に頬を撫でられた。
会うってだけで、こんなにも勇気を要するなんて思わなかった。
「…やっぱやめようかな。」
終いにはそんな言葉まで口をついてしまう始末で、じゃあ一体、何で俺はこんな場所まで来てしまったのだろうか、と。
そんなことを思いながら、出入り口とは別の方向へと足を進めた。
病院の裏手と言えば良いだろうか、フェンス越しには町が一望出来るほどの景色が広がっていて、都会よりも空気が澄んでいる印象だった。
サングラスを外し、目を細めてみれば、日陰と言うこともあるのだろう、風が心地良い。
ふと視線を配った先には、ラッキーなことに喫煙スペースが設けられていて、まぁ、一服してから考えようかと俺は、そのベンチへと腰を降ろした。
煙草を咥え、火を付け吐き出した煙は風に漂い消えていく。
やっぱり無意識のうちに携帯を取り出し、電話帳の夏希の名前のところで指が止まるのはいつものこと。
声が、聞きたかった。
お前が居てくれたら、俺はこんな風に迷うことはなかったかもしれないのに、なんて。
そんな都合の良いこと、言えるはずなんてねぇけどさ。
「すんませんが、火を貸してもらえますか?」
インターの付近は少しばかり賑わっていたけど、それでも少しそこから車を走らせれば、もう田んぼばかりが続く風景。
ぶっちゃけ、黒塗りの高級車は場違いだとしか思えない。
結局、ナビに指示されるままに運転すると、小高い丘の上に立つ白い巨塔へと辿り着いた。
親父が入院してると教えられた場所で、田舎には似つかわしくない建物だな、と思わされるのだが。
無意識のうちにため息を混じらせながら車から降りてみれば、生温かくも少し湿度を含んだ夏風に頬を撫でられた。
会うってだけで、こんなにも勇気を要するなんて思わなかった。
「…やっぱやめようかな。」
終いにはそんな言葉まで口をついてしまう始末で、じゃあ一体、何で俺はこんな場所まで来てしまったのだろうか、と。
そんなことを思いながら、出入り口とは別の方向へと足を進めた。
病院の裏手と言えば良いだろうか、フェンス越しには町が一望出来るほどの景色が広がっていて、都会よりも空気が澄んでいる印象だった。
サングラスを外し、目を細めてみれば、日陰と言うこともあるのだろう、風が心地良い。
ふと視線を配った先には、ラッキーなことに喫煙スペースが設けられていて、まぁ、一服してから考えようかと俺は、そのベンチへと腰を降ろした。
煙草を咥え、火を付け吐き出した煙は風に漂い消えていく。
やっぱり無意識のうちに携帯を取り出し、電話帳の夏希の名前のところで指が止まるのはいつものこと。
声が、聞きたかった。
お前が居てくれたら、俺はこんな風に迷うことはなかったかもしれないのに、なんて。
そんな都合の良いこと、言えるはずなんてねぇけどさ。
「すんませんが、火を貸してもらえますか?」


