あれから数日が過ぎ、7月も終わりに差し掛かろうとしている陽射しは、一層強くなったようにも感じられた。


とりあえず的に髪型変えてみたけど、まぁ、それ以外はあんま何も変わってない感じ。


ただ、朝はとりあえず起きるようになったし、ヨシくんが作った味噌汁もたまに食ったり、あとはまぁ、牛乳ちゃんと飲んでるよ。


生活に活力ってものはないけど、でも、クスリやハッパを求めたり、死にたいと思うことは格段に減った気がする。


携帯握り締めて寝て、夏希の夢見て起きることも相変わらずだし、やっぱ会いたい気持ちは変わんない。


それでも、悲観的に思うのは止めたんだ。



「なぁ、ヨシくん。」


「ん?」


「親父、ってさぁ。
今、どうしてるんだろうな。」


「……え?」


「いや、何となく。」


夏希の父親が死んだこと、そして智也の母親に会ったからだろうか、最近不意に自分の親父のことを考えることが増えた気がする。


だからなのか、本当にただ、思ったままを言葉にした俺に向けられたのは、ひどく驚いたような顔だった。



「…何で?」


まぁ、そう聞かれるのも当然と言えば当然だろう。


先ほどまで驚いてる風だった彼の顔は、いつの間にやら少しばかり険しいものに変わっていて、俺は煙草を咥えるようにして宙を仰いだ。



「ほら、ヨシくんって何でも知ってんじゃん。
だから、俺の親父のことも実は知ってたりするのかなぁ、なんて思って。」


「…知ってる、って言ったら、聞きたいと思うの?」


「え?」


「世の中、知らないままの方が良いこともあるんだよ?」


つまりは多分、知ってるってことだろう。


わざとらしく俺の反応を試すような回りくどい言い方で、だけども本当は、あまり教えたくないってのが本音らしい。