そう、おどけたように返してみれば、あからさまに呆れたような顔に見つめられた。


自分自身を変えたいとは思ったけど、でも、その方法すらもわからない。


進む方向さえ定まっていないのにとりあえず歩けるほどガキじゃなくて、結局俺は、同じ毎日を繰り返しているだけ。


迎えに行こうと思ったことも、もしかしたらもう、心のどこかで諦めているのかも。



「頼むから、生きる意志を見せてくれ。」


「死にたいなんて、今は言ってないよ?」


「心の中で常に思ってるなら、同じことだよ。」


「…思ってねぇよ。」


「くだらない嘘だな。」


自分自身、何がどうなのかはわかんなかったけど、それでも睨むほどムカつきもしない。


全部が半ばどうでもいいって感じで、ため息混じりに俺は、手に持っていた缶ビールを流し込んだ。


結局は、虚勢を張るほどの気力もないのだ。



「そんな状態のお前を見てると、時々殺してあげたくなるよ。」


「へぇ、そう。」


嘘つくなよ、殺せもしないくせに。


きっとアンタは、苦しんでる俺を見たら焦って救急車でも呼んじゃうタイプだよ。


死にたいと漏らすことさえもなくなった今の俺は、言葉を持たない動物と同じで、彼は不安の中で心配しながらそんな存在を持て余しているんだ。



「お前は、どうしたい?」


「今は、アンタの顔なんか見たくない。」


「…わかったよ。」


そう、彼は俺から視線を外した。


いつの間に、こんな顔ばかりさせるようになったのかな、って。


苛立ち紛れに飲み干したビールの空き缶を握り潰し俺は、それを壁へと投げつけた。


昔だったら一発で殴られてたようなこんな行動さえも、今は見て見ぬふりを貫かれるのだから、嫌になる。