部屋の中に居てもさすがに陽射しはきつくなり、日当たり良好な場所に置かれたソファーを恨めしく思ってしまう。


あの後、マジで一度だけ倒れ、救急車で運ばれて点滴に繋がれた挙句、安定剤まで貰うこととなってしまったのだ。


アル中も、結構肩身は狭い。



「お前、いい加減懲りない?」


「…何が?」


「飲むなとは言わないけど、せめて量を減らせよ。」


視線だけで酒のことだと告げたヨシくんに睨まれてしまい、俺は誤魔化すように曖昧な笑みを浮かべた。


飲んでも飲んでも酔えなくなって、代わりに毎晩のように便所でゲロってる。


安定剤ですらも体が受け付けなかったのか、逆に不安に陥ってしまい、一度っきりで飲むのを止めた。


マジ、末期って感じ。



「なぁ、龍司。」


「ん?」


「俺はね、お前をそんな風にしたかったんじゃないんだよ。」


「…何のこと?」


「毎晩毎晩、ぶっ倒れるまで飲んで。
忘れさせようとしたのは、間違いだったのかな、って。」


「今更、随分と都合の良いことを。」


「そうだね。
でも、このままじゃ本当に死ぬかもしれない。」


それで良いのかと、彼は俺に問うてくる。


辛うじて出来ている部屋の隅の日陰に座り込んで視線を逸らした俺に、そんな悲しげな瞳だけが落とされた。


まぁ、誰だって一ヶ月以上もこんな状態の人間を前にすれば、不安に襲われるのも分かるけど。



「子育てって難しいね、パパ。」