向日葵-the black cat-

「言っとくけど、智也にもさっき伝えておいたよ。
だから、お前の出る幕なんかないってことだ。」


さすがに、俺の思考を読んだような台詞には、思わず舌打ちを混じらせた。


別にヨシくんは、智也の恋路を応援しようって気はないくせに。


ただ、俺から夏希を遠ざけるために、忠犬を利用しようとしているにすぎないのだ。


そんなことわかりきってても、本気で苛立ちを隠せなくなる。



「ヨシくん、もしかして夏希の居場所知ってんの?」


「知らないし、興味もないよ。
ただ、知ってたとしてもお前には教えてやらないけどね。」


「へぇ、そう。」


「聞けよ、龍司。
全ては、お前のために言ってるんだ。」


「…親心だ、って?」


「当然だ。」


「俺を怒らせることも、親としての責務ってヤツ?」


「親とは時に、嫌われてでも言わなきゃならないことがあるんだ。」


子離れすら出来ないくせに、もっともらしいことを言いやがって、と俺は一瞥してやった。



「人の色恋に口出すヤツは、馬に蹴られてナントカって言わない?」


「世の中、親だから、ってだけで何でもまかり通るんだよ。」


“お前だってそうだったろ?”なんて台詞にまた、ひどく苦々しい気分にさせられた。


親だから良いのだと、親父は俺に言いながら、毎晩のように腕に根性焼きを押し当てられた記憶。


おまけに本当の親でもない男にまでそんなことを言われてしまい、俺は小さく拳を握り締めたままに立ち上がった。



「どこ行くの?」


「反抗期の息子にそんなこと聞く?」


まるで嫌味のようにそう睨んでやり、視線を逸らすようにして足早に部屋を出た。


都合の良い時ばかり、ままごとで片付けやがって。