向日葵-the black cat-

今日も静かに雨音だけが響いていて、まるで止むことを知らないように奏で続けられるそれに、ただ耳を傾けた。


酒も煙草も大嫌いだと思っていたはずなのに、なのにいつの間にかこんなにも体に馴染んでしまい、もう抜け出せない。



「ヨシくんは、何で生きてんの?」


「同じように死んだら由美に会えるなんて、そんなありもしないことに夢を馳せたり出来ないからだよ。
死んだら、人はそこでお終いなんだ。」


「由美姉は、無になった、って?」


「そう。
でも、思い出とか記憶だけが残っちゃって、だからこそ厄介なんだ。」


「…辛い?」


「そうだね。」


珍しくヨシくんが、素直に胸の内を語ったなと思った。


結局のところ俺もヨシくんも、ただ毎日を物理的に生きてるだけってことだろう。



「疲れない?」


「わかんないよ、もう。
麻痺したのかもしれないね。」


「無に、なりたいとは思わないの?」


「思わないね。
多分、プライドが邪魔してるだけだと思うけど。」


「…プライド?」


「そう、プライド。
弱いからとか、自殺するとそんな固定観念で捉えられるだろ?
俺にはそれが、耐えられないってだけ。」


「死んだら関係ないよ。」


「けど、サチもお前も悲しむ。」


本当は、ただ優しい人で、その優しさに俺やサチは、縋り過ぎているのかもしれない。


それがヨシくんのこの世への未練なんだとすれば、良いのか悪いのかがわかんなくなった。