その分、 雪依はピアノにのめり込んでいった。 船越の演奏は 彼の性格から想像つかない位繊細で優しく、美しかった。 雪依は彼に認めてもらえるように、毎日必死に練習してきた。 しかし、 父はあの女と籍を入れたいと言ってきた。 雪依は認められなかった。 ―お母さんは1人しかいない。 あの女は違う… 私の居場所を奪ってしまう… そう思い、雪依はその女を傷つけてしまった。 包丁で彼女を差したのだ。