ホテルのドアを開けると、マルボロの匂いがした。 「遅えよ」 雪依はにっこりと笑う。 「だって、女は支度に時間がかかるものでしょ。それに先週は先生が遅れたじゃない」 「―逢いたかった。先生…」 雪依は船越に抱きついた。 彼は雪依の顔に触れ、キスしてきた。 ―それだけで、 もう何も考えられなくなる。