「僕、ここで勉強していい?」
「え?何でよ。」
「受験生だもん。」
「じゃあ帰んなさい。」

「駄目だよ、今日友達の家に泊まるって言ってきたんだ。」俊一は笑顔で言う。
「泊まるって…本気で言ってるの?私が良いというとでも?」
「大丈夫!僕絶対先生を襲ったりしませんから。」とまた笑顔で答えた。
この笑顔を見ると、何故か嫌とは言えなかった。

それから俊一は何も喋らずに本当に勉強を始めた。
(何も聞かないんだ…)

「ね、お腹すいた。」
「は?」
「何か作ってよ。雪依先生の手作り、食べたいなー僕。」
(全くこの兄弟は…)