頭が酷く痛い…
「―知らない、私、何も。」
「じゃあ、何で嘘をついたんだ。」

あの時の場面が蘇る。
敵意に満ちた、幼い瞳。

―トラナイデ―

あの瞳は、昔の私の瞳と同じだった。

父を奪われそうだと思ったときの、あの女に対する想い…


「やめてえぇー!!」
雪依は泣き叫んだ。

私はあの時の自分と同じ想いをあの娘にさせていたのだ。


「パソコンの画面と、発信履歴、そしてあの現場で娘が立ち尽くしていたのを、俺は見たんだよ!」
彼は頭を抱えた。

「俺があの娘をあそこまでさせてしまったんだ。」