雪依は左手を見た。 俊一のくれた指輪が光っている。 「――綺麗…」 これでずっと幸せになれるんだ。 夢にまで見ていた幸せ。 私はずっとこの時を望んできた。 ―ふと、五線譜を見つめた。 彼の手書きの五線譜。 雑な音符の羅列で、譜読みに散々苦労した。 よく見ると、 1小節目の前に何か字が書かれていた。 「――これ…?」