だから、その翌日。ヒコから電話がかかってきたとき、本当は心臓が飛び出るほど驚いたんだ。

「俺さ、晴菜ちゃんと付き合うことにしたから」

……うっそ?!

彼女作らない主義だって言ってなかった?

泣きそうになった自分が情けなくなって心に浮かんだ疑問は、深く深く飲み込んだ。

「そうなんだー。ついにヒコにも素敵な彼女が出来たんだ。
良かったね、おめでとう」

なんてうそつきな口なのかしら。
信じられないほどすらすらと、言葉が零れる。

そして、自分でも気づかないくらい静かに、私の頬に涙が流れていた。
嗚咽すら、漏れない。

「ありがとう」

「じゃあ、私、今からヒコにクリスマスのプレゼント届けようか?」

一瞬、しんとした間が開く。

今日は12月23日。
本当のイブは明日だけど、明日ヒコは彼女と会うに決まってる。

だから、その前に届けておかないと。
私は郵便配達員なんだから。

「あ、当然私からのじゃないよ。ほら、皆から預かっている分がまだあるの。
今以降の分は受け取らないから。
彼女出来たって言っておいてあげるね」

うん。
私ってば、なんてよく出来た……。

愚かなピエロなんだろう。