私立帝森学園は、都会から電車やバスを三、四本乗り継いだ辺鄙な場所にある男子校である。

外観は創立者の趣味なのか所々アンティークのような細工が施されており、清楚で落ち着いた佇まいが売りの一つだ。


偏差値はまちまちだが、生徒一人一人の個性を尊重するその校訓に惹かれ、毎年様々な方面から学生が集まってくる。


今年も色々な目標を抱え、全11クラス分入学した一年生の中。


三春はこれといった目標も無く、淡々と日々を過ごす『はぐれ』という存在として周りの生徒とは一線を引かれていた。