「何でいつも俺の夢に出る? お前幽霊か?」

「…………」

「つか、毎回毎回同じ歌ばっか聞かせん、」


「……見つけた」

唐突に歌が止んで、変わりに紡ぎ出されたのは何時も歌っているあの凛とした声だった。

まさか喋るとは思わず、多少気圧されながらも三春は怪訝な声をあげる。


「…は、見つけた? 誰が誰をだ」

「捜したぞ……俺の花嫁。必ず迎えに往く、後少しだけ…待っていろ」

話を聞こうともしない白い影は、まるで踊るようにしなやかな仕草で三春の手を取り――

そのまま身体ごと抱き寄せた。


「?!ッな…にして、」

「名残惜しいがそろそろ時間だ」


展開についていけない三春を置き去りにして、白い影はまるで煙のようにふわりと姿を消した。

あまりに呆気なく、唐突に。


「……何なんだよ、夢のくせに…――っ!」


呟くとほぼ同時に、闇色の世界へ光の亀裂が走る。

次々にひび割れ総てを飲み込む閃光の眩しさに、三春はやがて意識を手放した。