「トウヤのばかちん」 名前で思い出したけど、 さっきケイちゃんに名前を呼んだら喜ぶって言ってたっけ。 こうなったら一生呼んでやらないから。 勝手に拗ねて、勝手に怒ってしまっているけど、 奴に悪いところはない。 ただ、腹立たしくて、何かに当たりたい気分なのだ。 「寂しい女だな」 急に降ってきた声に、顔を上げる。 にやりと口の端だけを上げて笑っているせいで、 いつもの数倍は意地悪く見えた。 いつからそこに居たのよ、 そう言おうと思って止めた。 きっと答えてもらえない。