桃矢くんなりに悩んで、あたしとのことを考えてくれてるなら、そんな嬉しいことはない。



桃矢くんは、どこまでの未来かわかんないけど、その未来にあたしを見てくれてる。



あたしが見てるように。



嬉しくて、嬉しくて、涙が零れた。



キサラギさんとのことなんて頭から吹っ飛んだ。



「おっ、ぅおいっ!!泣くな!俺が泣かしたみたいんなるやろ!!!」



子供をあやすみたいに、いないいないばぁされて、手をひらひらさせてる。



面倒だから、あたしはそっぽ向いて感動に浸った。



どのくらいここに居たかわからない。



ただ、ここから見える廊下に人っ子一人いないから、授業は始まってるのかもしれない。



そんなことを考えてると、中庭のガラス戸が勢いよく開く音が聞こえた。






「桜っ!!」



それはあたしを大切にしてくれてる人の声だった








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