「…ありがと」 言ってから気づいたけど、あたし的には指輪に対して言ったつもりだった。 「俺が悪い」 当たり前だと言うように涙を拭う。 言葉から察するに涙を拭いたことに対する礼だと勘違いしてるらしい。 「いや、ちがくて。指輪、嬉しかったの」 その言葉に指は止まる。 「ほんと嬉しいの」 「……」 「ほんとだよ?」 「いや、疑ってねぇよ」 奴の長めの前髪が小さく揺れる。 切れ長の綺麗な目が、瞳があたしを写す。 想像以上に近い距離に、改めて感じる近さに頬が熱をもつ。