彼らしくない彼に、私は驚き戸惑った。
素直になればいいのに
なんて思ってはいたけど、
実際そうなられると少し気味が悪い。
「一条桜、1-1。
家族は両親とあたしの3人。
好きなものは・・・ラーメンと映画と冬、
それに嫌いなものはレバーと犬と夏。ほかに質問は?」
指を折りながら数えるように自分のことを話した。
彼は最初何を言っているのか理解できない雰囲気で、
それでも途中から頭に叩き込むように小さな声で復唱していた。
「あたしはさ、自然と知っていくと思ったの。
だから、最初から何も聞かなかった。
そんなにいっぱい聞かされても覚えられないし。
まさか、あたしの名前なんかで
自分を責めてると思わなかったから・・・
一樹桃矢らしくないから、
そんな顔しないでよ。
こっちのペースが狂うでしょ」
言いたいことを言うと、
あたしはすっきりしてしまって
鼻をふんと短く鳴らすと、前を歩き始めた。
彼は変な女、
と呟くと目を細めたまま歩き始めた。

