お母さん、さようなら。 なんだか分からないけど、 あたしは黄泉の世界に行かねばならないようです。 手を合わせると、 ばこっと鈍い音が耳に入った。 目を開けると、 謎の男は頭を抑え屈んでいた。 奴はあたしの手を引くと、 教室を後にする。 声なんてかけられる雰囲気じゃないよ。 でも、 黄泉の国には行かなくてもよくなったようだ。 安心と不安。 複雑な心を抱えつつ、 帰り道を無言で歩いた。