「ねぇ、嬉しい?」 沈黙を破る声は、奴の耳に静かに届く。 奴は聴こえていて、 何のことか理解していて、 沈黙を続ける。 それって、 はいって答えているようなもんだよね。 奴は歩みを止めようとはせずに、 振り返ることもしなかった。 あたしは照れていると勝手に解釈してた。 歩き始めて、10分。 もうあたしたちは校内には居なかった。 それに何故か手が繋がっている。