ハクバの王子

翌朝


ヒナコを家まで迎えに行った。

「よっ!」

「えっ!?何で?約束してたっけ?」

いつかみたいに目を真ん丸く見開いて
俺を見る。


「いや…ただ、来たくて来た」

「…メールしてよ!ずっと待ってた?」

「んー30分ぐらいかな?」

って、これはうそ。
実は1時間ぐらい前からいた。

昨日はあんまり眠れなかった。
“ヒナコが俺の彼女”
っていう現実が信じられなかった。
ヒナコは2年も想ってた相手がいたのに
俺のことをスキになってくれた。

2年間、俺の片思いだった。

ヒナコにスキな相手がいてもいいって思ってた。

それぐらいヒナコがスキだ。

だから、この現実を早く確かめたくて
学校まで待ってられなかった。


ヒナコと出会って2年。

2年前の“アメ女”がヒナコだと気付いてから2週間。

“ヒナコがいないとダメだ”

そう思うようになっていた。