ドンッ!

急に後ろからタックルされて、前に倒れそうになった。

犯人はヒナコだった。


「おい、どうしたんだよ!?」


俺の制服をギュッと掴んで放そうとしない。

「………たい…」


ヒナコは俺の背中でボソッと呟いた。

けど雨の音でかき消された。


「え?なんて?」


「もっと一緒にいたい。離れたくないよ」




そう言われた瞬間、今まで堪えてきたものが一気に溢れだした。




持っていた傘を放り投げて、ヒナコをギュッと抱き締めた。



前よりも強く


強く


愛しく




もう雨なんて気にしない。

心が晴れ渡ってたらそんなのは関係ない。





俺たちは雨の中、キスをした。



心が通じ合った気がした。






4月の雨は意外と

暖かかった。