それからオリエンテーションまで毎日、雨宮君と一緒に帰った。


ユキと服部君には
「習い事があるの」とかありえない言い訳を1週間以上言い続けて。


私たちの待ち合わせ場所は図書室。靴箱から一番遠くて、滅多に人が来ないからユキや服部君に見つかることもない。
彼女達にとって“図書室”という場所は存在しなかった。


1週間経つ頃にはユキは
「一緒に帰ろう」と誘わなくなった。


「また、明日ね~」
そう言って颯爽と帰る後ろ姿を何度も見送った。



この1週間、雨宮君と過ごす時間が待遠しくて授業も上の空だった。

授業が終わり、ユキの姿を見送ったらダッシュで図書室へ向かう毎日。





というか、
雨宮君の宣言通り
私は
雨宮君と会っている間服部君のことを忘れていた。




今までこんなにオリエンテーションが楽しみに思えたことなかった。




雨宮君のおかげだよ。