ハクバの王子

そう、私の秘密。

秘密って程じゃないんだけど
私は根っからの"アメ女”なのだ。

「ばかげてるって思うかも…ヒナコと私、いつも一緒にいたからコレは確実な話なんだけど、ヒナコって完全な"アメ女”なの。運動会とか、遠足とか、卒業式とか、遊びに行くときはいつも雨で。たまたまヒナコが休んだ中1の運動会のときは唯一晴れてたよね。だから、ヒナコはアメ女だって言われるようになって。で、修旅事件でしょ」


「修旅事件?なんだよ、それ」



ユキは、京都の話をし始めた。

私が失恋した日のことを。

「うちら、修旅で京都行ったの。ヒナコにしては珍しく、3日間ともすっごい晴れてて。2日目が自由行動でヒナコと2人で観光しようって言ってたんだけど、私がユウヤに告られて流れでユウヤと観光することになって。ヒナコとは別行動してたわけ。でも、集合場所の金閣寺に時間になっても来ないから、みんな心配になってすっごい探して。そしたらものすごい雨が降ってきてさ。でも、通り雨だったみたいで30分ぐらいしたらやんでさー。そしたらひょっこり出てきたの。でも、なんか知らないけど濡れて全身ぐっしょぐしょ。傘持ってたくせに差さなかったみたいで。おかしいよねー」


雨宮君はユキの話を黙って真剣に聞いている。


「ふーん。そうなんだ。俺の学校も京都だったよ。たぶん同じ日」


「え!?マジで??じゃあ、どっかで会ってたかもね。運命的!」


「綾瀬さんが雨女か雨女じゃないか知らないけど、雨降らないかも知れないじゃん。遊園地。行こうよ。」


「え?・・・・・・う・・・ん。じゃあ行こうか。ね、ユウヤ」

「そうだね!やったー!!遊園地。来週の土曜日は?」

「じゃあ土曜日で」

「よっしゃ!じゃあ、もう遅いし帰りますか」


私たちは帰る支度を始めた。