「おい!!ヒナコ!待てよ!どこ行くんだよ!!!!」
俺の声も無視して走り去っていく。

俺たちは呆然とその場に立ち尽くしていた。



「おい!!まじ、ふざけんなよ!!!何してくれてんだよ!」

「えー、いいじゃん別にぃー。抱きつくぐらいでさぁ。」
「ヒナコがおかしいんだよー。これぐらいスキンシップでしょ?普通じゃん??」


俺は自分の耳を疑った。
これがこいつの本性だったのか。
まんまとだまされていた。

俺も、ヒナコも、ユウヤも……


「お前…なんであいつと一緒にいるわけ?」

「えー、あの子トロそうだけど意外としっかりしてて、本人は思ってないかもだけど意外ともてるんだよねー。萌え系っていうの?ユウヤも昔好きだったみたいでー」

「…それで?」

「私のほうが美人なのに、悔しいじゃん。だから、ヒナコが好きになった男とか取ってたの。」
「全員、私が告るとすぐオッケー出すのね。それでヒナコが悲しむ姿見るの楽しくてさー。」


「………」


「まぁ、コウタはユウヤの友達だったし、私が思ってたよりも先に付き合っちゃうし、計画崩れちゃったからさ。だから、今日ヒナコに見せ付けてやろうと思ったの。」



「そんな理由でヒナコ傷つけてんじゃねーよ!!!」

俺はユキを壁にたたきつけた。

「俺は、お前のことなんとも思ってなかったよ?そこら辺にいる女と同じレベルだった。俺は最初からヒナコしか考えてなかったし、ヒナコだけだった。誰でもお前になびくと思ったら大間違いだかんな!!!!」
「これ以上ヒナコ傷つけたらお前でもただじゃおかない。俺たちに構うな。」


ユキは俺をにらみつけたまま、目を離さない。
俺もにらみ返す。




こいつは危険だ。

俺にとっても、ヒナコにとっても。