短い二連休を終えた。
会社は特に変化もなく、またいつも日常だった。

「あれ~もっちゃん。髪切ったんやね~」

石黒が俺に気が付いた。

「あぁ。さすがに伸びてたからな。」

当たり障りのない返答をすると、石黒は

「俺は、もっちゃんの長いのも好きやったけどな~でもその髪型も似合ってる思うで。」


俺はたまに思う。
こいつはもしかしら俺のことが好きなんじゃないかと。

「おい、そこの二人!!昼間っからラブラブするな!!」
女の上司が俺らのやりとりを聞いて、突っ込んだ。
入社当時から石黒がこんな感じだから、俺ら2人のことをネタにからかわれたりする。
俺はだいたい否定するのも面倒だから黙っている。
そうすると、大阪出身の石黒は調子にのって、

「こ~へぇ~、2人きりん時は甘えて来るやんかぁ~」

とか言って、気持ちの悪いオカマキャラへと変身する。
そして、それを俺が相手にしないという一連の流れがおかしいらしく、みんなそれを見て笑う。

そんなことしておきながら、俺も必死にずっと笑いを堪えている。
それも周りからみるとおかしいらしい。

「あれっ?高原は?」

こんな寸劇をやりながら、高原がいないことに気が付いた。

「あらっ!?紘平ちゃん、そんなに高原ちゃんのことが気になって!!浮気!?」

石黒はまだオカマキャラのままだった。

「いやいや、オカマはもういいからさ。高原は?」

そう聞くと、石黒はすぐにキャラを戻し、

「俺が来た時はおったけどな~どっか行ったんちゃうん?」

と言った。

「どっかってどこよ?お前と違ってどっかでフラフラしたりしねえだろ、あいつ。」

どさくさに紛れて、普段、よくどっかに出歩いてしまう石黒に対して、嫌みを言った。
すると、

「本宮!!よく言った!!もっと言ってやれ!!」

と周りが色々と言い始めた。再三注意しているのにも関わらず、こいつが勝手にどこかに行くことには、みんな手を焼いていた。

「何で俺やねんな~。」
そう言いながら、みんなで笑っていた。