時計を見たら11時を過ぎていた。

「お母さん、飲み会だって。」

食器を洗いながら千景が突然喋りだした。

「遅いな。」

「いつものことじゃん?きっと酔っ払って帰ってくるよ。」

「…帰ろうかな。」

「ふふっ。いいじゃん。遅いし、泊まっていきなよ。」


ほら。
俺が考えていることは全部見透かされている。


千景の家とうちは歩いて一分もかからない距離だ。
でもたまにこうやって平日とかに千景の家に泊まることがある。

千景のうちに比べて、うちの家族は割と夜が早い。
11時なんて、両親はもう寝ていることはざらだし、姉ちゃんも0時前には寝てしまう。
帰りが終電になってしまうと、風呂に入ったりするとうるさいからなるべく避けたい…
と、思ってるが意外と家族は気にならないらしい。

むしろそれを気にしているのは千景の方で、こうやって気を遣ってくれる。

「そうしようかな。」

「着替えとか出しておくから、お母さん帰って来る前にお風呂入っちゃって。」

「…おおきに。」

「ふふっ。」