ビタースイート

 

「川崎君は、もう限界なの?」

限界だから、ここに来ている。
でも確認せずにはいられなかった。


「あ、そうだ、俺水原さんの事好きみたいっす」

ほらほら、また逸らす。

ずるいよ、川崎君。
ずるいよ、その逃げ方。
ずるいよ、好きとか言わないでよ。
何回も言わないでよ、好きって、簡単に。



「これ、マジですから」

「あ、そ」

「あ、信じてません?」

「当たり前だってば」



いつものようにじゃれあって、いつまでもそうするんだって、勝手に決め付けてた自分がいた。




次の日、川崎君は来なかった。

ビルの屋上から町を見渡す。


今日はなんだか学校が騒がしい、気がした。

先生達が校門前で何か真剣な顔で話している。


それと同時に、遠くの方からパトカーと救急車のサイレンが、こちらに向かってくる。


刹那、私の目は、一人の男をとらえた。

茶色がかった長い髪が靡き、着崩した制服のせいで走り辛そうにしている。

間違いなく、川崎君だ。

手に何かを持っているが、視力の低い私には全くわからない。


川崎君は私の学校の方に向かっていた。

何故かパトカーは川崎君の後を追っているように見えた。


頭がついていかない。


これはタチの悪い夢だ。