「おねーさんもサボり?」


ぼーっとしていると、いきなり声をかけられた。

今まで気がつかなかった二月の寒さが身にしみる。


「ここに人がいるなんて想像もしてみなかったからびっくりした」

「あ、すみません。ここ、来ちゃいけませんでしたよね」


学校の近くの雑居ビルの屋上。
ここは最近見つけた。

でも人に会うのは初めてだった。


「あ、いや、いいよ。俺も無許可だし」


私と同い年くらいの男の子は、私と同じように学生服を着ていた。

見慣れない制服だ。


「それより、おねーさん、あの高校の生徒でしょ」

男の子は柵越しに見える校舎を顎で示す。

「はい」

「何年なの」

「二年」

「あ、そうなんすか。すいません、俺一年っす」


嫌になるほど馴れ馴れしかったのに、急にかしこまるものだから、私は耐えきれず吹き出してしまった。



「あ、おねーさんやっと笑いましたね」


確か彼と初めて会った時は、こんな感じだった。




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