この空間から抜け出したい。

冷めたスープを飲み込んだ。


「ねぇ、紗都。私、彼氏できた」

にっこり微笑むアキ。

いきなりすぎて、まだ追い付いてこない私の頭。


「まじ、で?」

無意識のうちに、出た言葉。

「マジマジ、大マジ」

いつもみたく、アキは大声で笑う。


正直、不安。


「そっか、おめでとう」


でも今の私には、祝うことしか出来ない。

それでいいんだ。


井上に裏切られた時のアキが一瞬だけ浮かんだ。

大丈夫、心配ない。
アキは強いから。


体の中のスープが温かさを取り戻した。




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