まだ、どきどきしてる。

教室に入って席につき、今朝の事を何度も思い出す。

授業中もずっと、頭から離れない。

目が合った、って事は私を見ててくれたのかな。



「告っちゃえばいいじゃん」

隣のクラスからお昼を食べに来た友達の橘 アキ、アキちゃんが放った言葉で教室の空気が止まった、ような気がした。


「告っ……て、そんな簡単に…」

「まあ紗都には無理だろーけどね」

そう言うと、彼女は大きな声で笑った。



水原 紗都。
これが私の名前。

もっとも、"紗都"と呼ぶのはアキちゃんだけなのだけれど。




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