「そういや朝子ちゃんは?最近来ないけど。」
朝子もこの店の常連さん。大将は何気に朝子がお気に入り。
「最近彼氏できたっぽいんだよね。だから断られる、みたいな。」
「マジで?!」
「なに、その食い付き方。」
「いや~、ちょっと前にチラッと朝子ちゃん見かけたけど、幸せ真っ只中って顔じゃなくてさ。」
「…大将…それだけじゃないでしょ。朝子に彼氏できたことが悲しいんでしょ。」
「わかる?!」
「てゆーかデレデレしすぎだからね、うん。」
「あ~朝子!俺の朝子…!」
「あんたのじゃないし。ついでに妻子持ちでしょ。」
「いや~、それがさ。最近うちの嫁さんがさ…」
それから約30分近くに渡り、奥さんのことをグチられ続けた。
適当に相槌を打つも、独り身の私にはどうしてもノロケにしか聞こえず、大半は右から左に受け流した。
あれ、左から右?(どっちでもいい。)
