お隣さんの恋愛事情




「あのな、……はな、げ…出てんだわ。(よく言った俺!)」



「は?はなげ?」



「うん。」



何を言うかと思えば。
あっ!たぶんまだ恥ずかしいんだ!なぁんだ、か~わ~い~い~

仕方ない、覚悟決めるまで待っててやるか!
私ってば優しい~



「わかった……じゃあ待ってるね?でも、わかって!私はいつでもオッケーだから!ハートロックオンだから!」



「あぁ、そう…。(わかんねぇ…この女わかんねぇ!)」



「…じゃあまた明日ねっ」



多少顔が引きつってるのは何でだろ。
あ、たぶん私に気持ちがバレちゃったからなんだ!
そっかそっか!



「ぐはっ」



「(何か今背中に寒気…)」



「んふっ」



「(早く帰ろ)」



ちょっと早足になった正人を、私の中の史上最強スマイルで見送った。

あぁ~ヤバい。
何か顔が火照る。

私って結構モテモテなんじゃん!

いやぁ~まだまだ捨てたもんじゃないね!



てゆーか私って……



「だ~い~た~ん~!!!」



私の奇声は夜空の向こうにまで飛んでいった。
まさか隣の部屋で、正人が寒気に襲われてるなんて知らなかった。


そして。



小低い鼻からピョンと飛び出ている鼻毛に気づいたのは、翌日、会社に着いてからだった。