お隣さんの恋愛事情




「何ガンつけてんだよ。」



「はっ!ガンつけてないし。正人くんって~かなり自意識過剰じゃな~い?」



「マジムカつく。」



「お互い様。」



フンっと鼻を鳴らしてすれ違おうとしたとき、騒がしいバカっぽい声が正人を呼んだ。




「正人ー!待てって!俺マジで恭子ちゃんと仲良くなりたいんだって……って恭子ちゃん?!」



は?恭子ちゃんって私?てゆーか、この男どっかで見たことある気がすんだけどな。



「あ~ちょうど良かった。オイ狸、こいつお前のこと好きなんだって。」



「もっぺん言ってみろ、変態脳みそスッカラカン。」




正人の言葉にムカついて、正人の後ろで必死にうごめいている男を無視した。

そういえば朝子はと振り返れば、ミキ姉の部屋のまえでピンポンしてる。

行動はえーなオイ!



「恭子ちゃん!!」



「はい?」



名も知らぬ男(しかも正直タイプではない)に名前を呼ばれるのはあまり良い気分じゃないな。けどとりあえず返事した。