だけど
そんな中、一人だけ…
…あ…
雨音は真ん中の1番後ろの席に座り、ただぼーっと俺を見てる。
あいつだけは騒がないのか。
「じゃあ…黒澤君の席は鈴村さんの隣ね。」
担任が言う。
…え…
雨音の隣…。
「雨音いいな!」
「代わって!」
みんなは騒ぎ続けてる。
俺はそんな中、雨音の隣の席に座る。
雨音は俺が座ると俺を見る。
近くで見ると雨音はやっぱり綺麗な顔。
不覚にも俺もドキッとする。
…って俺!
俺はこいつの命を奪うのが使命。
余計な感情に流されるな。
「また会ったな。」
俺は雨音に言う。
すると
「うん。これからよろしくね、黒澤君。」
そう言って雨音は笑う。
――ドキッ
「よろしく。響でいいから。」
俺はそう言った。
なんでこの時
ドキッとしたかだなんてまだ俺には分からなかった。


