「大丈夫だって。雨音と回れるよう、ちゃんとこっそり抜けるし。」
俺は雨音に言う。
「本当?」
「…本当。」
俺が言うと雨音は笑う。
「いっぱい回りたいなぁ。」
雨音が言う。
「いっぱい回ろうぜ。」
俺は雨音に言う。
文化祭は
10月25日…。
あ、そういえば…
雨音の誕生日だよな…。
あー…
俺の誕生日の二ヶ月前なんだな。
二ヶ月後には
俺はもう……
「響君?」
雨音は俺を見つめる。
「ん?」
「…どうして響君は時々……」
雨音は何かを言いかける。
雨音…?
「雨音?」
「やっぱり何でもない。」
雨音が言う。
雨音…?
雨音は
気付いてたのかな。
何となく。
近付いて来る
悲しい運命に。
もう
残された時間は短い。


