響君が帰って来たのは、私が響君のお父さんと話して、すぐの事。


響君は泣きそうな表情で帰って来た。



だけど


“なんでそんな顔してるの?”


なんて聞けなくて…


だってね


響君はいつもみたいに私をからかったりして明るく行こうとしてるように見えたから…


だから


聞けない…。


「雨音、そろそろ帰らないか?」


「……え……」


早くない?


「いたくないんだ。何か欲しいもんあったら言え。叔父さんに頼むし。」


「あ、遠慮しときます…」


「じゃあ行くぞ。」


そう言って響君は立ち上がる。


なんで


行くの……?


「お母さんには会なくていいの?」


私は響君に聞く。


「会わない方がいい。」


響君が言う。


響君……。


すると


「兄ちゃんだぁ!」


……え……


小学校高学年くらいの男の子が私達の所に来る。


兄ちゃん…?