お願いだから……。
「雨音、大丈夫だって。ハンカチ汚れるぞ?」
響君が私に言う。
「……あ……」
私は一旦ハンカチを響君の頬から離す。
だけど
……え……
ハンカチはかなり黒く染まっており、響君の血はまだ止まらない。
「ば、バンソウコッ…」
ハンカチじゃだめだ。
私はカバンからバンソウコウを取り出す。
ひ、響君が……
バンソウコウを取り出すと慌てて私は響君の頬に貼る。
お願いだから止まって。
「……大丈夫だよ。」
響君が言う。
「……え……」
「あいつの魔術の威力が少し強かったから血止まるの少し遅いだけ。俺は全然平気だ。」
響君が言う。
「響君……。」
「びっくりしただろ?悪魔の血は黒っぽいんだぜ?」
響君は笑って言う。
笑ってるけど…
本当に大丈夫なのかな…?


