【長編】ホタルの住む森


私は再婚と書かれた欄を指差した。

「…晃が再婚するときは、この欄に私は死別として記録されて、死んだ日が書き込まれるんだよね。
…ごめんね。長くは一緒にいられないのに…」

「茜、僕は再婚なんてしない。
一生君だけを愛して生きていく」

「晃…ありがとう。でも人の心は変わっていくわ。
もしも愛する人が出来たときは、私に悪いとか思わないで、必ず幸せになって欲しいの」

「僕には一生君だけだよ。
僕らが結婚する日に、どうしてそんな事を…」

「結婚する日だからよ。
あなたと私が一つになる約束の日。
だから…私がいなくなったときの事も約束しておきたいの」

「茜…」

「お願い…好きな人が出来たら…私を忘れて幸せになって」

「僕は一生君の魂だけを愛し続ける。
僕がもう一度結婚するときは…君が僕の元へ還ってきた時だ」

「……晃…」

「僕を独りにしたくないと思うなら、生きろ」

「だって…」

「僕が必ず君を治す。だから、生きるんだ。僕の為に」

「……うん。頑張る…」

晃は私を苦しいほどに抱きしめた。