「毎晩君の幻影が現れて夢の中で君を抱いたよ。
でも夢の中の君は微笑むだけで何も語りかけてくれないんだ。
君の声が聞きたい、僕だけに見せる笑顔が見たい…ってどんなに願ったかわからない。
このまま何も努力しないで君を失うなんて絶対に嫌だよ」
「…あんな風に別れた私を晃はもう忘れたと思ってた。
…これで良いんだって自分に言い聞かせていたわ」
「茜は意地っ張りだからな。
あの時追いかけたら、また逃げていただろう?
だから待ったんだよ。君が…僕に会いたくてたまらなくなるまでね」
「晃に会いたくなるって…どうしてそんなことがわかるのよ」
「わかるよ。茜のことなら何でも…。
僕を愛しているのに口に出すのが怖い事も、強がっているけど寂しくて独りで泣いている事も、本当は…僕と結婚して共に生きたいと願っている事も」
「…私に…未来なんて無いわ。
私はあなたの為に何も出来ない。晃が不幸になるだけよ。
私はあなたが長い人生の中で一瞬だけ愛でた切花なの。あなたの庭に咲く花じゃない。」
自分の言葉に傷つき涙が溢れそうになるのをぐっと堪えて晃を見据える。
彼にはこの闇の中どの程度私の表情が見えているのだろう。



