「晃…ダメよ。この体は陽歌ちゃんのものだもの。また彼女を苦しめてしまうかもしれない。それに私はあなたに悲しみを与える存在。消えなくちゃいけないの」
「ねぇ、茜。もし全てを知っていたとしても、僕は君を愛していたよ。どんな苦しみが待っていようと、どれほど大きな悲しみが未来にあろうと、君を知らない人生を生きるくらいなら、血を吐いて生きる方がましだ」
「…あ…きら…」
「苦しみは甘んじて受ける。罪なら一生かかって償う。足りないというなら次の世でも償い続けよう。
だから…もうどこへも逝かないでくれ。僕の傍から離れるな。一度失った君を再び失うなんてごめんだ。
陽歌はこの世で僕と出逢い愛し合う運命だったんだろう? …だったら彼女の瞳である君も、僕に愛される運命にあるんだ」
茜は晃の首に腕を回し、唇を重ねた。
溢れる涙が頬を滑り、唇へと伝っていく。
別れのキスは哀しい涙の味がした。
「ありがとう…晃。その言葉だけで私は十分幸せよ。
…ごめんね。一緒に生きれなかった事。私と歩けなかった分も陽歌と幸せになってね。私の想いはこの世界の中にずっと生きている。あなた達が幸せであるように、ずっと祈り続けて見守っているわ」
茜の決意は揺るがなかった。
共に生きようと願う晃を振り切るように、茜は意識を手放し、晃の腕の中に崩れ落ちた。
同時に、皆の心に直接茜の声が響いてきた。



