【長編】ホタルの住む森


「この体は陽歌ちゃんのもの。もう逝かなくちゃ…」

「ダメだ…逝かせない」

「晃…ごめんね。私は気づいていたの。私が逝った後、あなたが独りで生きる事を選ぶだろうと。
だけど私はあなたにそんな哀しい生き方をして欲しくなかったの。誰かを愛して幸せな家庭を築いて欲しかった。だから、陽歌ちゃんに18歳になったらあなたに会って幸せを確かめて欲しいと頼んだのよ。あなたが再婚せずまだ独りだったら…陽歌ちゃんとあなたが愛し合うことを望んでいたの」

「…じゃあ陽歌が僕に惹かれたのは、君の感情なのか?」

「違うわ。…確かに、あなたに出逢う前から夢の中で惹かれていったのは私が目覚めたせいよ。でも私が目覚めなくても二人は出逢って自然に惹かれあっていたはずよ。だって…晃と陽歌ちゃんは現世で結ばれる運命にあったんだもの」

「な…っ? バカな、だって僕は茜と…」

「…晃、私達は本当なら、現世では結ばれない筈だったの。…私達は前世で許されない恋をして、多くの人を傷つけ…大罪を犯した。…私達は罪を償う為に転生したのよ」

「…まさか…? そんなこと…嘘だろう?」

「人は死ぬと過去の全てを思い出すわ。…そして何故生かされたのか、何の為に存在したのか、その意味を知るの。
私の病にも死にも意味があったの。…私は前世の罪を償う為に、病をもって過去の戒めを解き放つ為に生まれ変った。そしてあなたに…刑を科す為の存在として出逢ったのよ」