「自分を責めないで、母さん。俺、たくさん母さんに愛してもらったよ。いつだって見守ってくれていたのを知ってるよ。生まれた時からずっと傍にいてくれたよね。だから寂しいと思ったことなんて無かったよ」
「暁…」
「小学校一年の時だったよな。母さんは俺に大切なものを与えてくれた。それによって天使の力を失って消えてしまったけど…あの時からいつか母さんは俺達の処へ還って来るって知っていた気がするよ。……お帰り、母さん」(エターナルフレンズ参照)
「…どうして? あの記憶は時と共に褪(あ)せていくはず。大人になるまで残るはずが無いのに…何故覚えているの?」
「曖昧な部分はあるよ。でもどんどん記憶が薄れていくって気づいた時に、覚えていることを出来る限り記録に残したんだ。あの時の事はやっぱり忘れたくなかったし…俺は天使の…母さんの事を覚えておきたかったんだ」
「暁…ありがとう…」
「礼を言うのは俺のほうだよ。あの時母さんが助けてくれたから、俺は大切な友達を救うことが出来た。…感謝しているよ」
「…暁…あなたは幸せなのね」
「幸せだよ。…母さんが俺を産んでくれたからね」
茜は強く目を瞑り大きく息を吸い込むと、暁の言葉を胸に深く刻み込んだ。
そして一言一言、幸せを噛み締めるように語った。
「ずっと見守っているわ。ずっとあなたの幸せを願っているわ。ずっとずっと愛しているわ。暁…私の愛しい子……誰よりも幸せになって…」
茜は暁の頬に触れ、愛しげに撫でた。
そして、幼い暁にいつも天使がくれた優しいキスを残してから、ゆっくりと離れた。



