胸の奥が熱くなり、揺り動かされるような感覚が湧き上がってくる。
肌が粟立ち、陽歌は自身を抱きしめた。
…あおい…あおい…
まるで自分の半身を呼んでいる様な響きだった。
「あなたが……陽歌ちゃん?」
記憶の奥底に眠る、懐かしい声が蘇る。
振り返ると玄関のドアの前に腰までの長い黒髪の女性が立っていた。
初めて会うのに誰よりも近い人だと思った。
心の中で何かが砕ける音がして、陽歌の中で茜の感情が大きく膨らんでいった。
込み上げてくる茜の家族への強い想い。
こんなにも愛している人たちに自ら語りかけられない切なさが苦しくて、胸が痛い。
陽歌の中に再び、茜を助けたい、幸せにしてやりたい、と願う気持ちが強く込み上げてきた。
陽歌は瞳を閉じると茜に語りかけた。
茜さん、私の体を使って。
あなたの思うままに話して、触れて、愛してあげて…
あなたが愛した人たちに伝えたかった想いを伝えて…
あなたの口から直接…愛しているって言ってあげて…
深層部へ意識を深く沈め、茜の意識を探し当てると、グイと自らの意識に引き寄せた。
二つの意識が重なり一つに解け合っていく。陽歌は茜の意識を表層へと押し上げると、ゆっくり瞳を開いた。
目の前の蒼にニッコリと微笑みかける。
そこに居たのは陽歌であり、茜でもあった。
陽歌が静かに口を開く。
茜が想いを語り始めた。



