拓巳は暫く何事かを考え込んでいた。
「しつこいかもしれないけどさ、お前俺を選ばないか?」
沈黙を破った拓巳の台詞が告白だった事に陽歌は、自分の心が揺らいだのを悟られたように感じ動揺した。
「な、なんで今、このタイミングでそういう話になる訳?」
「お前、茜さんの最後の望みとやらを叶えてやるんだろ?」
「あ、うん。…ちゃんと叶えてあげなくちゃいけない。 晃先生に会わなくちゃ…」
今、晃に会ったら自分の気持ちを止められるだろうかと、陽歌は不安を感じた。
目を瞑ると鮮やかに笑う晃の顔が浮かぶ。
やはり好きだと思う気持ちに嘘はなかった。
「そんな不安な顔をするなよ。茜さんの願いって、子どもに会って家族の幸せを確かめたいって事だろ? だったらお前はそれを果たすだけでいいんだ。お前が如月陽歌として生きたいと思うなら、特別に感情を同調させる必要は無いんだ」
「……私がなに? 」
「お前が如月陽歌って人格だけで形成されていたら、きっと今ごろ俺に惚れていただろうな」
意味が解らず首を傾げる陽歌から視線を外した拓巳は、悲しげに笑った。



