「大変だったんだな。…俺は伯母さんの気持ちが解るぞ。過去の傷を忘れてやっと平穏に生活しているお前に、わざわざ辛い事を思い出させたくは無いさ。茜さんだってわかっているさ」
「……でも茜さんはその後何年も夢でメッセージを送ってきてたわ。きっと早く気づいて欲しかったんだと思う」
「まあ、お前が鈍いのは俺が証明できるからな。何年掛かったってしょうがないかも知れない」
拓巳の突っ込みに「ヒドイ」と苦笑し反論する。
緊迫していた空気が緩み少し気持ちが軽くなったのを感じた。
こんな風に自然に場を和ませることが出来るのは拓巳の才能かもしれない。
陽歌の苦しみを少しでも軽くしてやりたいという気遣いが伝わってきて、拓巳を愛することができたら幸せになれるだろうか…。と、陽歌の心は揺らいだ。
「メッセージの夢を最初に見たのはいつごろだった?」
「18歳の誕生日のちょっと前…4月の桜の頃だったわ。…新入生の入学式で受付係をした日だったから日付も覚えているわ。4月6日よ」
「それ、茜さんの命日じゃないか?」
「あ…っ」
茜の意志を感じ、二人は黙り込んだ。



