「このまま死んだらあなたは後悔するわよ。
いい、良く聞いて?目が見えない事が障害なのではなく、目が見えないと悲観して見るべきものを見失っていることが障害なのよ。
あなたの目が見えないから友達が離れていくのではなく、あなた自身が作った壁で友達が近寄れなくなっているの。
死にたいなんて言ってはダメ。生きたくても生きられない人は世の中に沢山いるのよ。あなたのご両親のようにね。
目が見えないことは劣っているということではないわ。失ったものがあるのなら、それを補う努力をすればいいのよ。何もせず生きることを諦めるなんてご両親に恥ずかしいと思わない? あなたにそんな死に方をさせるためにあなたを産んだわけじゃないわ。
この世にはあなたを必要としている人がいる。だからあなたは生かされたの。それを成し遂げずに死を選ぶことは許されないのよ」
普段は優しい彼女の思いがけない強い言葉に陽歌は強い衝撃を受けた。
「…私がパパやママを必要としていたのに、二人は死んだわ。…どうして?」
「…人の死には意味があると私は思うの。私も両親を亡くしたとき、自分のせいだと随分苦しんだわ。
でもね、二人の死があったからこそ解った事があった。二人の死があったからこそ出逢えた人がいた。両親は死して尚、私の幸せを願ってくれていたのだと思う。
もしかしたら、二人は私たち姉妹が幸せになる為に逝かなければいけない運命だったのかもしれないと思うことがあるわ」
「……私は…幸せになれなくても…パパやママに一緒に…いて欲しかっ…た…っ」
「そうね。でもいつかきっと解る日が来る。今が苦しいのは未来の幸せの為なのよ。
どんなに悲しくて辛くても、その経験はいつか幸せのための土台になるの。人生における苦しみに決して無駄なんて無いわ。全てはあなたが幸せになる為に必要なことなのよ」



