エイプリールフールのその日、検診を終えた茜がいつものように病室を訪ねると、病室は惨たんたる有様だった。
花瓶が割れ、ガラスと花びらが部屋に散乱しており、その中に仕付け糸をつけたままの真新しい制服が投げ出されていた。
幸江の説明によると、その日の朝、陽歌の伯母が入学式のために制服を持って訪れたらしい。
事故で小学校の卒業式に出席できなかった陽歌を不憫の思った伯母が、せめて入学式だけは友達と一緒に行かせてやりたいと思い取った行動だったが、両親や友達との思い出に触れた陽歌が感情を抑えきれずヒステリーをおこしたのだ。
「こんな目ではもう誰も友達でいてくれない。パパやママの所へ逝きたい」と言って号泣する陽歌。
自らの置かれた状況を悲観し、死にたいと嘆く彼女を茜は一喝した。



