黙り込んだ晃に右京は茜の事を思い出していると思ったらしい。
「とにかく現実を見るんだ。おまえが茜を愛しているのは分かっている。だけど、茜の手紙を思い出して見ろよ。茜はおまえの幸せを願っているんだぞ」
自分の幸せとは何だろう。茜の思い出と生きていくのは幸せなことではないのだろうか。
周囲から再婚を勧められるたびに、同じ事を思ってきた。
だが、それを右京の口から聞く日が来るとは思ってもみなかった晃は、ショックを受けた。
「茜はいつまでもおまえを縛りたくないんだよ。
しっかり前を向いて、新しい人生を歩いて欲しいんだ。分からないのか?」
「解らないわけじゃないさ…でも、心がそれを受け入れられないんだ。
茜との思い出を抱いて生きてきた16年を簡単には他の物に擦りかえられないんだ」



