【長編】ホタルの住む森


「……っ、なんだよ右京。その目で見るなよ」

「おめーが、素直にならないからだろ?」

「素直って何に対して?」

「バカ…本当は自分でも気付いてるんだろ? 彼女への気持ち」

「彼女への気持ち? 別に特別な感情はないよ」

「おまえ、そんなんでよく医者とかやってるよな。誤診だらけなんじゃねぇか?」

「失礼だな。病状を診るのと自分の感情とは別だろ?」

「彼女の事が好きなんだろ? 素直になれよ」

「好き? だって昨日会ったばかりだよ」

「出逢ってひと目で恋に堕ちる事だってあるさ。
俺だってそうだったんだし、晃だって茜に一目惚れしただろう? 今度だってそうじゃないとは言い切れないぞ?」

茜の名を聞いて晃の表情は曇った。

自分は陽歌に茜を重ねてみているのか。

それとも本当に彼女に恋をしたのか。

どれだけ考えても分からなかった。